toyotaro's

システムの検証メモを中心に、学んだ事や思った事などを備忘録として書いていく

Amazon WorkSpacesの環境構築から利用開始まで

はじめに

Amazon WorkSpacesとは

フルマネージドで提供されるデスクトップ仮想化サービス(DaaS)で、東京リージョンでも利用可能です。

Windows、Linuxのデスクトップを選択することができます。Windowsの場合にはOSやOfficeのBYOLも可能です。

仮想デスクトップにはWindowsやMac、iPadやChromebookからクライアントアプリまたはブラウザを利用して、インターネット経由でアクセスします。

導入と運用のハードルが高いVDI環境をニーズに応じて、必要な時に必要な分だけすぐに用意することができます。

料金は「月額固定で無制限利用」または、「月額少額固定+利用時間料金」の2つが用意されています。月額固定の方が安くなる目安は大体80時間です。

通信要件など、その他の詳細は以下を参照!

aws.amazon.com

docs.aws.amazon.com

Chromebookをシンクラ端末として利用する記事に使いたいので、環境を構築してみようと思います。

環境構築

AWSアカウントは持っている前提かつAWSの説明は割愛して進めていきます!

NATゲートウェイなど料金が発生するサービスも使いますので、削除忘れなどご注意を!実施する場合は自己責任でお願いします。

Elastic IPアドレスの割り当て

まずNATゲートウェイにアタッチするElastic IPアドレスを取得します。

  • VPC>Elastic IP>Elastic IPアドレスの割り当てをクリックする

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Elastic IPアドレスの割り当て
  • ap-northeast-1でAmazonのアドレスプールを指定。タグは任意で。

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Elastic IPアドレスの割り当て

VPC周りの作成

WorkSpacesはVPCに配置されるのでVPC周りの作成をしていきます。もちろん既存のVPCを利用するでもOK。

  • VPC>VPCダッシュボード>VPCウィザードを起動をクリックする

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VPCウィザードを起動
  • パブリックとプライベートサブネットを持つVPCを指定して選択をクリックする

WorkSpacesはプライベートサブネットに配置し、NATゲートウェイを介してインターネットに接続する構成をとります。パブリックサブネットに配置し、パブリックIPを持たせてインターネットに接続する構成も取れますが、プライベートサブネットに配置する構成が多いと思います。

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VPC設定の選択
  • VPCとパブリックサブネット、プライベートサブネットの値を指定します。AZはap-northeast-1aを指定しています。NATゲートウェイには先ほど作成したElastic IPをアタッチして、VPCの作成をクリックする

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VPCの作成
プライベートサブネット追加

ここまでで以下の環境が作成されます。

  • VPC × 1
  • パブリックサブネット × 1
  • プライベートサブネット × 1
  • インターネットゲートウェイ抜けルートテーブル × 1
  • NATゲートウェイ抜けルートテーブル × 1
  • インターネットゲートウェイ × 1
  • NATゲートウェイ × 1
  • ネットワークインターフェイス × 1
  • Elastic IP × 1
  • ネットワークACL × 1
  • default VPCセキュリティグループ × 1

WorkSpacesを構成していくには最低2つのAZの異なるサブネットを指定する必要があるため、プライベートサブネットを1つ追加します。

  • VPC>サブネット>サブネットを作成をクリックする

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サブネットを作成
  • 先ほど作成したVPCを選択し、サブネットのAZはap-northeast-1cを指定し、マルチAZ構成としてサブネットを作成をクリックする 

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サブネットを作成

WorkSpacesの作成

Directory Serviceの作成

WorkSpacesはディレクトリを使用して、WorkSpaceとユーザーの情報を管理するためWorkSpacesで使用するディレクトリを登録する必要があります。2021年7月時点では以下の3つから選択することができます。

  • AWS Managed Microsoft AD
  • Simple AD
  • AD Connector

公式の注記によると2021年7月時点では、Simple ADおよびAD Connectorは、WorkSpacesで無料で利用できます。Simple ADまたはAD Connectorディレクトリで30日間連続使用されているWorkSpacesがない場合、そのディレクトリはWorkSpacesでの使用から自動的に登録解除され、課金が始まるそうです。

AD Connectorを使うとオンプレADアカウントまたは、AzureAD DomainService+VPN+AzureADでAzureADアカウントでWorkSpacesに接続させる構成を取ることもできるみたいです。今回はSimple ADを使っていきます。

  • Amazon WorkSpaces今すぐ始めるをクリックする

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今すぐ始める
  • 詳細設定の起動をクリックする

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開始方法の選択
  • Directory Serviceの作成に推移します。Simple ADを選択して、次へをクリックする

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ディレクトリタイプの選択
  • ディレクトリ情報を入力して次へをクリックする。組織名は一意である必要があります

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ディレクトリ情報の入力

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ディレクトリ情報の入力
  • 先ほど作成しておいたVPCとプライベートサブネットを選択して、次へをクリックする

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VPCとサブネットの選択
  • 確認してディレクトリの作成をクリックする

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ディレクトリの作成
  • 作成が完了するとステータスがActiveになります。10分ほどはかかります

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ディレクトリのステータス
WorkSpacesの作成
  • WorkSpaces>WorkSpacesでWorkSpacesの起動をクリックする

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WorkSpacesの起動
  • どのディレクトリでWorkSpacesを起動するか選択します。作成しておいたサブネットを選択します。
  • セルフサービスアクセス許可の有効化とAmazon WorkDocsの有効化はここではいいえにします。次のステップをクリックする

セルフサービスアクセス許可の有効化をはいにしておくと、WorkSpacesへログイン後の画面上部のメニューから、WorkSpacesのスペック変更や実行モード変更、再構築などをエンドユーザー自身で実行できるようになります。WorkSpaces作成後、どのメニューを有効にするか管理側で選択変更することもできます。

Amazon WorkDocsの有効化をはいにしておくと、上限はあるもののAmazon WorkSpacesのユーザーはAmazon WorkDocsを無料で使えます。Amazon WorkSpacesを削除するとAmazon WorkDocsの課金が始まるので注意です。

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ディレクトリの選択
  • ディレクトリにユーザーを作成していないので、新規ユーザーを作成してディレクトリに追加します。ここで指定したメールアドレス宛にログイン情報が記載されたメールが通知されます。情報を入力してユーザーの作成をクリックする

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新規ユーザーの作成
  • ディレクトリからユーザーを選択から、対象ユーザーを選択して選択項目を追加をクリックする。WorkSpaces作成対象に追加されたことを確認して、次のステップをクリックする

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ユーザーの選択
  • バンドルを選択します。ここでは無料利用枠の対象になっているWSP版のStandard with Windows 10を選択しました。*1 これはずっと無料というわけではないので注意。割り当てを確認して次のステップをクリックする。

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バンドルの選択

WSP版については以下を参照。仮想デスクトップ上でWebカメラが使えるのが魅力みたい。

aws.amazon.com

  • 実行モードは無料利用枠の対象のAutoStopを選択して、任意で自動停止時間を指定します。任意で暗号化やタグをつけて次のステップをクリックする

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Workspacesの設定
  • 内容を確認してWorkSpacesの起動をクリックする

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WorkSpacesの起動
  • 20分ほどしてステータスがAVAILABLEになれば完了です

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WorkSpacesのステータス

WorkSpacesへの接続

環境ができたので、クライアントからWorkSpacesへ接続してみます。

招待メールの確認とパスワードの設定

ユーザー作成時に指定したメールアドレス宛にログイン情報が記載されたメールが届きます。内容に沿って進めます。

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メール通知
  • メールのリンクにアクセスすると、パスワード設定画面に推移するのでパスワードを設定します

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パスワード設定

Web Accessの有効化

パスワード設定を終えると、クライアントアプリのダウンロードおよびWebログイン画面に推移します。

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WorkSpacesログイン画面

今回はWebアクセスを試したいと思います。Webアクセスを行うには事前にWorkSpacesからディレクトリの設定を変更する必要があります。

  • WorkSpaces>ディレクトリにて対象ディレクトリを選択し、アクションから詳細の更新をクリックする

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詳細の更新
  • アクセス制御のオプション>その他のプラットフォームにてWeb Accessにチェックを入れて、更新と終了をクリックする

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アクセス制御のオプション

WorkSpacesへのアクセス

  • Webアクセスをクリックします。なお、Webアクセス以外をクリックするとOSに応じたクライアントアプリをインストールすることができます。クライアントアプリからのアクセス方法はWebアクセスの方法とほぼ同じです

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Webアクセスをクリック
  • 招待メールに記載された登録コードを入力して進みます

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登録コード入力
  • ユーザーIDと設定したパスワードを入力してサインインします

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サインイン
  • 続けるにはクリックをクリックすると、デスクトップ画面が表示されます

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    ログイン成功

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デスクトップ画面
WorkSpacesの停止

WorkSpaces作成時にAutoStopで指定した自動停止時間がたてば停止します。手動で停止する場合はOS上からシャットダウンするか、マネジメントコンソールで対象Workspacesを選択して、アクションからWorkSpacesの停止を実行します。

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WorkSpacesの停止

停止すると、ステータスがSTOPPEDになります。

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WorkSpacesのステータス

再度WorkSpacesに接続する時は、いちいちマネジメントコンソール上でWorkSpacesを起動する必要はありません。サインインをすると自動で起動します。

キーボードの設定

日本語キーボードの設定

キーボードで「@」とかを入力すると意図してない文字が入力されるのを回避するために、キーボード入力設定が英語キーボードになっているのを日本語キーボードに変更します。

  • メニューから設定をクリックする

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設定
  • 時刻と言語をクリックする

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時刻と言語
  • 地域と言語>言語>日本語のオプションをクリックする

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日本語のオプション
  • ハードウェアキーボードレイアウトのレイアウトを変更するをクリックする

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レイアウトを変更
  • 日本語キーボードを指定し、サインアウトをクリックする。次回サインインすると日本語キーボードに切り替わってます

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レイアウトの変更
IME切替の設定

Macとchromebookで英数かなキーで入力切替ができないのを回避するために、キー設定を変更します。

  • メニューから設定をクリックする

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設定
  • 時刻と言語をクリックする

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時刻と言語
  • 地域と言語>言語>日本語のオプションをクリックする

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日本語のオプション
  • キーボード>Microsoft IMEのオプションをクリックする

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Microsoft IMEのオプション
  • 詳細設定を開くをクリックする

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詳細設定を開く
  • 全般タブ>編集操作>キー設定の変更をクリックする

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キー設定の変更
  • キー設定タブにてIME-オン/オフを探して、 キーを選択し、変更をクリックする

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キー設定の変更
  • 任意のキーを選択し、OKをクリックする。Ctrl+0とかもあるよ

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キー設定の変更

タイムゾーンの変更

タイムゾーンがずれてたら変更する。

  • メニューから設定をクリックする

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設定
  • 時刻と言語をクリックする

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時刻と言語
  • 日付と時刻>タイムゾーンで大阪、札幌、東京を指定する

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タイムゾーンの変更

 

終わりに

環境構築から利用開始までは簡単にできました。気が向けばもう少し詳しく見てみた記事をあげたいと思います!

*1:後から気づいたのですが、この記事はWSP版のバンドルに対してWeb Accessを実施したものになっていますが、Web AccessでAmazon WorkSpacesにアクセスする場合、WSP版のバンドルはサポート対象外でした。実際WSP版に対してもWeb Accessは出来たんですが、Web Accessでアクセスする場合は、PCoIP版を使った方が良さそうです。アクセスするまでの流れはPCoIP版でも大差ないと思います。